RADWIMPS「ソクラティックラブ」歌詞和訳と意味解釈・解説

「ソクラティックラブ」は、2009年3月11日にリリースされたRADWIMPSの5thアルバム
「アルトコロニーの定理」の7曲目に収録された曲です。

曲名の「ソクラティックラブ」は直訳するとソクラテス式の愛でしょうか。
プラトニックラブを模した造語だと思われます。
なぜ哲学者ソクラテスの名前が出てくるのか、気になる曲名です。

歌詞の紹介と合わせて、意味や解釈の解説をしていきます。
まずは、以下、歌詞全文です。


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ラッドウィンプス「ソクラティックラブ」の歌詞


野田洋次郎作詞

分かり合ってるふりはいいから 所詮僕らはアリスとテレス
なのになんでどうしてなぜ今日も 君はアルキメデス

絡み合って突っつき合うのにも 理由がないといけないのならば
その手放して 走って 裸足で 探し出して来たげるよ

So I'm gonna sing this harmony cuz I'm mystic don't wanna scammony
does anybody really wanna follow me?McCartney leads 'let it be’
now open up your mind and be retarded like this is your final
chance to have you dirty spermies out out out

寂しさの隣に君がいて 悲しさの隣に僕がいた
寂しさ 悲しさ 手を繋いで 僕ら二人を会わせたんだ

四人で並んで歩けばいい 手と手を繋いで歩けばいい
一人よりも 二人よりもほら 賑やかで楽しいほうがいいから

君は僕が愛しいと言うけど それは僕のナニを指すのだろう
僕を僕たらしめるものが何なのか 教えてよ

例えば
顔が半分に 腕が二、三本に 眼が五等分にちぎれちゃって
脳みそが隣人に 声が宇宙人に アレが人参に
変わっちゃっちゃったとしても 君は僕だと言えるの?
僕の何が残っていれば僕なのだろう?

あなたの想い確かめたくて 今日も一人で追いかけるよ
届かないとは知っているけど だからあの時は泣いたんだ

だけどその言葉の何処かに あなたが隠れているのならば
無理矢理でもその点と点を 繋げて あの星座みたいに
その心の形を分かった気にさせて

ペガサスも孔雀もオリオンも 言われたってんなの分かんないよ
乙女も牛もヤギもコンパスも どれ一つそうは見えないんだよ
あのあたりが時計の針だって どっから見ても無理があんだろう
もしもあれが双子の一人だって 言うならば俺はもう何にだって…



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「ソクラティックラブ」歌詞の意味解釈・解説



冒頭は哲学者の名前が並びます。

所詮「僕」と「君」は分かり合ってるふりをしているだけ。
アリストテレスが言ったように様々なパーツが組み合わさって
人間として認識されているだけの存在なんだ。

なのに「君」は今日もアルキメデスの原理みたいに
「僕」らは分かり合えるはずだと言うんだ。

アルキメデスは水の中に入れた物体は押しのけた水の重さに
等しい浮力を受けるという法則を発見した人です。

「君」は「僕」のことを理解していると思っているぶんだけ
「僕」が「君」を理解できるはずだと思っているという意味でしょうか。
「君」は意見の食い違いが起きたときに
わかってもらおうとするのでしょう。

「君」が身体を寄せて抱き合うのにも哲学者のような
理由が必要ならその手を放してほしい。
「僕」は裸足で走って理由を探しに行って来てあげるよ。

あとには英文の詞が続きます。

「僕」はスカモニアなんて欲しくない神秘主義者だから
このハーモニーを歌おうとしているんだ。

スカモニアは下剤になる植物です。
ハーモニーは愛の言葉や行為みたいなものでしょうか。
harmonyとscammonyで対になるようにゴロ合わせしていると思われます。

「僕」に本当についてきたい人なんているだろうか?
ポール・マッカートニーは「レット・イット・ビー」を導いた。

let it beは放っておいて、とかなすがままにとか、
神の御心のままになどの意味があります。

今こそ心を開いて君の今際の際だと思ってバカみたいになろう。
君が穢れた体液を出せるチャンスなんだ。

「僕」と「君」はただ寂しくて、悲しい時に隣にいたから
手をつないで一緒にいることにしたんだよ。
一人よりも二人でいた方が楽しいだろう。

「僕」を「君」は「愛しい」と言ってくれるけど
その「僕」とは一体なんなのだろう。
「僕」を形作っているパーツをそれぞれ分解したとしたら
「君」はそれを「僕」として認識してくれるのだろうか。

これは冒頭のアリストテレスの哲学に繋がっていると思われます。

このあとの歌詞は
「僕」→「俺」
「君」→「あなた」
に代わります。

「あなた」の想いが「俺」にはわからなくて、
「俺」の想いは「あなた」には届かないと知っているから
あの時は涙を流したんだ。

でも「あなた」の言葉のどこかに本心が隠されているなら
無理にでも星座みたいに言葉の点と点を繋いで
「あなた」の心をわかったつもりにしたい。
星座なんてどれもそうは見えないのにそう見えるようにしてあるだけなんだ。

「あなた」と「俺」も、そんな風に「わかったつもり」でいいんだ。
そのためになら「俺」はなんにでもなってあげるよ。

最後の星座の詞の部分は
それぞれ繋げたときの形が似ていたりするところから
「L」「O」「V」「E」になると言われているようです。
とても凝った詞です。

後半で1人称と2人称が変わるのは二人の関係が変化したことを
意味するのでしょうか。

ソクラテスは「無知の知」で有名な哲学者です。
「自分は無知である」ということを自覚したうえで
物事を探究していくことを目指したと言われています。

ソクラティックラブという曲名は
二人は分かり合えないんだと認識しながらも
相手を愛することという意味になるのかもしれません。

野田さんは作成中とても苦労した曲だそうで、
「黒い時期の自分が出てくる歌詞」
と話しています。
やや卑猥な言葉や凄惨な言葉が出てくるのはそのためでしょうか。

ちょっとダークで難解な、RADWIMPSらしい曲といえるかもしれません。

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